P10liteはなぜP9liteよりカメラスペックが落ちたのか。

P10liteについて興味出たから調べてたら結構面白かった。

なんでP9liteから画素数F値も下がってスペックダウンしたのか。

P10liteのカメラスペックである1200万画素、1/2.9型、1.25μmピクセル、電子式手ぶれ補正、位相差オートフォーカスを満たすセンサーはSony IMX386。

つまりP10 lite搭載のセンサーはHuawei Novaと同じ。NovaのレンズもF2.2なので恐らくレンズ含めたカメラユニットごと流用。

Sony IMX386は中華系メーカーに人気で評判も良く、Xiaomi Mi6やMeizuのハイエンド端末に採用されている。

先代のP9 liteはSony IMX214。こちらは1313万画素で一見高性能だけど、1/3.06型のためイメージセンサーSony IMX386と比べると少々小さい。そのため画素ピッチが向上し、1画素当たりの受光レベルが20%向上しているとの事。

そのため、高感度性能的には実はP9からP10はスペックアップ。

で、1200万画素に抑えた理由が定かではないのだけど、Huaweiは中華系では一般的なMediaTekや、高価格なQualcommではなく、傘下のSoCメーカーであるHiSilicon Technology製のSoCを採用している。

HiSilicon Technologyはここ最近SoCに内蔵するイメージシグナルプロセッサの内製化を急速に進めており、P9のKirin955からMate 9とP10のKirin 960へのアップデートの際に社外製となるALTEK社製のISPを排除した。

P10もMate9もRGB側のセンサーは1200万画素となっているので、恐らくHiSilicon Technologyが現在保有するイメージシグナルプロセッサが1200万画素用なんだと思われる。そのため今回P10liteに搭載したKirin 658も同様に1200万画素なのかと。

F2.2に落ちた点は・・・・コストダウンでしょう。novaと部品の共用化を優先したんでしょう・・・・。

HiSilicon Technologyは物凄いハイペースでSoCのリリースを進めてるので、今後もガンガン新型が出ると思われる。しかし、SoCに入ってる各機能のコアの部分は変えることが難しい事もある。ハイエンド側のライカカメラのカラーカメラが1200万画素頭打ちなのがその証拠。

なので、個人的にはその辺が変わった事が確認出来次第自分のと奥さんの買おうかな。具体的には多分Mate10かP11。

ここまで書いて思ったけど、俺やっぱり携帯をカメラとしか見てないな・・・

Kirin658搭載でダブルレンズのHoner9とか出たらそれもありかもね。画像処理系P10と同じでレンズ違いなんだから。

東京都が20億円の高級クルーザーを建造中!前身の新東京丸とは?乗船レポ

東京都が20億円の高級クルーザーを建造中!前身の新東京丸とは?

五輪予算削減が叫ばれる中、東京都が20億円の高級クルーザーを建造中とのニュースが報道されました。

全長35メートル、3層のデッキは1階に22人がけの大テーブルと会議室、2階はキッチンと10人がけのダイニング、3階は展望デッキを備えるとのこと。

news.nifty.comまぁ、個人的な一般論としては、ぶっちゃけ船で20億円と言う事自体は規模によってはまぁあるんじゃないの?と思いますし、活動家ちっくに一律で無駄遣いだ!なんて言うつもりはありません。

ただ、少し前に同じ用途の「新東京丸」に乗ってみた感想として、ちょっと引っかかる事があったので記事にしたいと思います。

 

問題となるのはメーカーと置き換える前の船との金額差でしょう。

一番の問題は、イタリアの名門アジムット・ベネッティ社の大型外洋クルーザーと言うのがちょっと問題になりそう。アジムット・ベネッティ社のクルーザーは品質がとても良くゴージャスで「海上の別荘」とも言われ、成功者のステータスとされる。これを都の視察船にすると言うのは、うーん?

また、前身の「新東京丸」は6億4000万円です。流石に34年前の水準と今の水準が違うとはいえ3倍近い金額と言うのは流石に・・・・。大きさも総トン数197トン、全長31.89メートル、3層構造で、今回の新造船と比べ大幅に小さい訳ではありません。

詳しく書いていきましょう。

 

前身の「新東京丸」って?

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前身となる「新東京丸」は1983年に6億4000万円で建造されている東京都の視察船です。

そもそも視察船ってなんぞや?って感じですが、パンフレットを引用すると以下の目的の元に運航されてるようです。

皆さんの生活と深く関わる東京港の役割を多くの方に知っていただくため、視察船を運行しています

新東京丸は東京港の視察を目的として運航しておりますので、遊覧目的や船内のご案内を聞かない方はご乗船できません。

 ボヤっとしてますが、東京港の重要性や東京港の先進的な取り組みを都民、国民、外国人に広める啓蒙活動目的です。経費は要は広告宣伝費です。

しかも、新東京丸は運航費用が一回の運航ごとに燃料費等で5万円かかりますが、港湾の維持費から捻出される為、税金は投入されていません。まぁ港の利用料をこういった経費を使わず都に収めれば、住民税は多少減るでしょうから全く関係が無いと言うとウソになりますが。

「新東京丸」はWebサイトから申し込めば誰でも乗れます。

 

視察船「新東京丸」利用案内

www.kouwan.metro.tokyo.jp

基本平日の運航ですが、たまに土曜日運航を行いますので、それを狙っていくのもおすすめです。

 

 新東京丸乗ってみた

暫く前となりますが、私は2016年6月に新東京丸に乗ってきました。

こんなニュース全く知りませんしつなげるつもりなんて全くなかったのですが、色々行っておくべきですね。あとあと助かります。

 

乗船の1か月か2か月ほど前のネットニュースで土曜に運航すると見つけ、わーい!タダで東京湾クルーズだー!と軽い気持ちで行ってきました。

もちろん、船に乗る事だけではなく、中央防波堤外側埋め立て地の更に沖合の新海面処分場を一般人が見る唯一の方法ですから内容自体も物凄く楽しみでした。造成中の埋め立て地って、今見ておくと数十年後に激変するから是非見ておきたいのです。

簡単にその感覚味わうのであれば、パトレイバー見た後お台場行ってください。特車二課のある13号埋立地って昔の何もなかったころのお台場ですから。

 

 

Webでの申し込みを行い、メールで受付完了連絡を貰ったのを確認し、当日「竹芝小型船ターミナル 」に向かいます。

駅から少し遠く、目立たないので判りにくいです。

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看板ちっさ。

まぁ、利用者もそんなに多くありませんからね・・・。

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海側に少し歩くと、「新東京丸」が停まってます。

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乗り場も地図では竹芝小型船発着所でしたが、実際には「新東京丸」専用です。桟橋のゲートにもしっかりと「新東京丸のりば」と書かれています。

実際に船を見ると総トン数197トン、全長31.89メートル、大きめの会議室が中にある。と聞いていた割に小さく感じる。一般人だと普段は大型のフェリーとか遊覧船にしか乗る機会ありませんからね。それら商用の船と比べると小さいです。

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中の様子。

確かに大型の会議室です。

そして、確かに昭和感はぬぐえません。しかし、手入れはしっかりされており、もうダメだなと言う感じはありませんでした。

現役の時にそれなりに稼いでて、しっかりした家を建てメンテもそれなりにしてきた親戚のおじちゃんちに遊びに行った感覚と言えば伝わるでしょうか。伝わらないか。

しっかりメンテナンスは行われており、ソファーはへたれていたもののチェアは30年モノとは思えませんでした。

外装のさび止め塗装、腐食箇所の補修、内装パネル(壁紙?)と電化製品の更新は必要だと思いますので、改修費用は計上する必要はあると思いますが、まだまだしばらく使える印象を感じました。

 

乗船後、東京港についての講義を90分ミッチリ聞きながらクルージング。楽しかったのととても勉強になりました。オリンピック会場になる予定の海の森の運河なども海側から見れてとても面白かったですね。

乗船時は記事にするつもりなかったから写真が少ない・・・・すみません。

解説をして頂けるベテランの職員の解説は解り易く丁寧なので、マニアックな知識が無いうちの奥さんも十分理解できる内容でした。

 

まとめ。結局どう思う?

「新東京丸」は 1983年建造ですから、今年で34年。「老朽化も進みもともと代替する計画だった。オリンピックのためではない」と東京都は説明します。

しかし、実際に乗ってみると別に20億も掛けるほど古くはなっていなかったです。

確かに「全体的に昔の内装だなぁ 」と感じるところはあるものの、内装は幾らでもリフォームできますし、当然1から作るよりずっと安い。そもそも建造費そのものが6億なのですから、20億円かかる訳がない。と言うのが感想です。

船は一般に想像するよりずっと長持ちです。

例えば隣の竹芝桟橋から出ている、伊豆諸島向けの超高速船のジェットフォイルは、毎日超高速運航、ガスタービン駆動の精密部品の塊と言う条件で1980年竣工から今も運航を続けています。老朽化も進み運航会社としては更新したいようなので、だから新東京丸も大丈夫!なんてことは言うつもり有りませんが、90分で東京港を一周するだけの、のんびりクルーズでジェットフォイルほど劣化するとも思えません。

ひとまず壊れるまで使って、壊れた後の建造中は無料クルーズは中止すればいいじゃない。と思います。

「新東京丸」の維持費は年間5000万ですから、運休中に要人の視察などで必要であれば、その維持費用で民間船のチャーターは十分できますし、そもそも海外から来る要人であれば、何も東京都が自費で接待しなくても国が所有する、海上保安庁の迎賓船「まつなみ」や海上自衛隊の特務艇「はしだて」があります。

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迎賓船「まつなみ」は、35メートル程度と新東京丸に近く、内部には控室付きの貴賓室が設けられています。

普段から来賓や他省庁の職員、報道機関が東京港を視察する際に用いられることが多く、新東京丸と非常に近い業務を行っています。

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特務艇「はしだて」は62メートル400トンと新東京丸やまつなみの倍近くあり、大型です。

内装は非常に豪華で海のホテルとも海の迎賓館とも呼ばれます。ただし、宿泊設備はありません。立食パーティ向けの設備などもあり、より要人向けの迎賓船としての特性が強くなっています。長い航海でのストレス解消として、伝統的に海上自衛隊の料理はおいしく、調理スキルも高いと言われていますが、その中でもトップレベルが集められており、はしだての勤務は名誉と言われています。

通訳ブースも備えた大型の会議室もあり、国内外の要人を招いての式典や、海上自衛隊を訪問した諸外国の軍人との会議などに用いられています。

また、災害時の医療支援機能や救難指揮機能を持ち、対策本部や救護所になります。

 

この二隻があれば、建造中の代替には十分なるし、そもそも用途がダブり過ぎて東京都が持つ必要なくね・・・?とすら思います。東京都単独で海外要人を迎賓するなんて事ないよね。

 

単純な視察艇が必要と言う話なら勿論理解できますが、普通のクルーザーなら3000万円程度です。

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これ、YAMAHA製で3372万1900円です。12人乗れます。

国産ですから、国内景気のためにもなりますしこれでよくね?

12人以上いるならヒミコとかホタルナ借りればよくね?

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チャータークルーズ | 東京都観光汽船(TOKYO CRUISE)

261名乗れて90分27万円です。

今の新東京丸の5000万の年間維持費で185回借りれます。年に185回って2日に一回ペースですよ。

もちろん要人の迎賓には向きませんが、それは「まつなみ」や「はしだて」のお仕事。

 

要らないんじゃないかなー?新造船。

UPQの液晶詐欺事件は悪なのか?

私は中華製品が好きだ。

gearbestとか超好き。今も旅行に持ってくビデオカメラを物色している。GoProのパクリみたいなやつ。4Kで手ぶれ補正付いたのがいいな。リュックのベルトに取り付けて自分の見たものを取りっぱなしにする予定。

ソニーのものだからちょっと違うがこれ。

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 バックパックマウントと言うらしい。本来はハイキングなどに使う用とだけど、これでヨーロッパの街歩きして、早回しで短縮するとおもしろそうだなと思って1万円くらいで探している。

 

いっぱいあって探すのが楽しい。

中華ガジェットの魅力は安さと豊富さ。勿論ご想像通り、買った後のトラブルはつきものである。

 ええ、これ絶対スペック表通り出てないだろ・・・・。

 サイズ違うんだけど・・・・。

 色違う・・・・。

 壊れてる・・。

 2か月でまだ届かないのか・・・・。

 あ、関税発生した。配達員が請求書持ってる・・・。

 

問題は何か起こる。

今度は何かなー??位の勢いで挑まないとやられる。関税は中国が悪い訳じゃないけど、ビビる。

覚悟が必要だ。

※gearbestは日本人相手の商売に慣れてるので比較的マシです。


それでも、私は中華製品が好きだ。

何というか、勢いがある。

勢いがあって、面白い製品が多く、更に商品サイクルが非常に速いのだ。新し物好きには最適である。楽しい。勢いで作ってるから、品質は最低でゴミも多いけど、勢いが楽しいのだ。完璧に計画した旅行も楽しいけど、勢いで出かける旅行も楽しいじゃない。結果はどうせグダグダになると判ってても、何かビックリするような体験ができることもある。と言ったらわかるだろうか。

 

 

 

日本で正規品を買おうとすると、選択肢が少ない上にべらぼうに高い。

上に出したアクションカムだと実質GoProとSONYの二択。パナとかニコンとかリコーとかあるけど、さらに高い。裏表両方とれるカメラとか素晴らしいけど、最早それ求めてるアクションカムじゃないから・・・。求めてるものが違う。なので絞っていくと結局GoProかSONYになる。

しかし高いのだ。

勿論どうしても必要なら、気にせず買える程度の価格ではあるのだけど、自転車やカバンに括り付けて取りっぱなしにしたら面白くね?とりあえず試してみよ。くらいにしか思ってない適当な用途で、3万円は痛いものがある。それなりに高いと金額を出せる出せない以前に「うーん?ちょっと遊ぶには高いからやめよ」と、そもそも止めると言う選択肢も生まれてくる。

 

この記事を書こうと思ったのは、今の日本製品って品質適当だけどまぁ安いから試してみてよ。と、言うユーザー開拓を蔑にし過ぎてないだろうかと思ったからだ。

後述するが、UPQの事件を見たのがその切っ掛けだ。

もちろん性能は間違いないし安心だから、人に勧めるなら絶対に国産にする。性能面でも安心だし、検査品質も極めて高い。不良品率も極めて低い。安心だ。

でもそれは、人に勧められないと買おうとしない層。つまり、レイトマジョリティ層に最適と言う事であって、アーリーアダプタ層やアーリーマジョリティ層に向いているわけではない。アーリーアダプタ層が大好きな、よくわからんけど最新の一点豪華主義。すぐ壊れるけど、その分ポンポン買えるように安い。みたいな商品は、日本の正規ルート市場にはない。

 

 

ガジェット以外だと、例えばバイクがそうだ。若者の車離れと騒がれて久しいが、バイク人口はそれどころの騒ぎではない。

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離れるどころか、むしろ若者は移動手段にバイクを初めから考慮に入れてない。最早「若者のバイク離れ」ではなく「若者のバイク忘れ」と言ったレベルの減少となっている。

世界最高峰レースMotoGPでは、日本車3社が圧倒的な強さとなってかなり長い年月が経っているのに、本国ではお寒い限りである。

原因は警察の過剰な取り締まり、出先で停めるところが無い(バイク用のコインパーキングは極めて少ないが、路駐するともちろん駐禁取られる)、自動車の相対的な低価格化、公共交通の発達、都市部ではクロスバイクのが安くて便利。など、理由を挙げればキリがないが、根本的な理由はメーカーも販売店も利幅と品質確保に躍起になって、若者向けの低廉な商品を販売しなかったからだ。若者が全く買ってない事から明らかだ。

お店に行って諸経費合わせて50万からと言われても、バブル期に比べ給与水準の下がった、今の若い人は買いにくいし、中古の自動車と自転車でいいよ・・・・となる。

 

原材料も人件費も原価自体も上がってるのだから、無いものねだりだろ。そう簡単に値下げ出来たら苦労せんわ!チョイノリみたいの作ったとしてお前は買うのか!と、言われてしまいそうだが、総日本製だったころより、海外生産が進み実は原価は下がっている。そしてそれなりに良いものが割と安い値段で出来る時代なのだ。

解り易い例としてヤマハを例に出してみよう。

YB125と言うバイクがある。

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昔同名のビジネスバイクがあったが、これはヤマハの中国法人が中国で生産している別物。

しびれるほどかっこいい!と言うわけではないが、レトロでそれなりにかっこいい。

おばちゃんスクーターとは全く違うし、ヤマハを例に出したのは、若者に根強い人気のある、SR400になんとなく似てるから比較しやすいと思ったからだ。

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全く違うじゃないか!!ふざけんな!!なんやねんそのクソみたいなホイール!!とか、思う人も多いとは思うが私は許容範囲だと思っている。

なぜならばYB125は16万円で買えるからだ。

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これは販売店が勝手に中国から輸入している逆輸入車で、ヤマハの正規保証はもちろんない。一般にはオススメできるものではない。それでも16.8万円で買えるのだ。若者のアルバイトでも十分手が届く。

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対するSR400は55万円である。諸経費入れたら60万円は超えてくるだろう。

勿論性能は天と地ほど違うし、何より保証がない。検査体制も全く違うだろう。同じ土俵で比べること自体が間違ってる。乱暴な比較である事は判っている。しかし、少なくとも「原価が高騰してるから下がらない」はウソだ。わざわざ現地で買って、コンテナに乗せて、メーカーと違って小口だから決して安くない送料払って、日本のバイク店の利益を乗せても、16万円で売れるバイクは作ることはできるのだ。

口うるさいクレーマーのような過剰品質を求めるユーザーに合わせて、品質を異常に高めた結果60万円でなければ採算が合わなくなったと言うだけだ。

リピーターの「日本製の素晴らしい品質」を求めるユーザーには良いと思うが、とりあえず試してみたいからほどほどでいいよ。と言うユーザーは無視されている。品質確保のために、コストが掛るのは判る。高くても、従来の品質を信頼しているユーザーをガッカリさせてはいけない。それはその通りだ。しかし、リピーターだけしか相手にしない商売もそれはそれで違う。リピーターはいずれ年老いる。年老いるとお客さんではなくなる。そうなると行き詰まる。

比較しやすかっただけで、スズキも中国製でべらぼうに安いものがあるし、ホンダもタイやインドでは安いモデルを出している。CBRもタイから持ってきたらえらい金額が違ってた。スズキもインドでGIXXERは16万円だ。ヤマハを叩いてるわけではないし、スズキもホンダも悪い訳ではない。

16万円のGIXXERが30万円で倍になるのも、品質管理が現地と日本では全く違うからという事情があるのは判る。判るが、だからと言って、日本人全員が潔癖症で一つのキズも不良品もない完璧な製品を求める代わりに倍の値段でいいよ。と思ってる訳ではないだろう。

もし、本当にそうなら、日本に中古車市場は存在しないし、毎週末何万人も集客するアウトレットは商売にならないだろう。多少劣ってても安けりゃいいよ。と思う人は大勢いる。その理由は単にお金がない人もいるし、試してみたいから(練習)とか、道具として使い倒すからとか、いろいろ理由はあると思うが、求める人は必ずいる。

命に直結するから嫌だよ。と、言う意見もある。不安なのはわかるが、スズキはインドではドライバーが死んでもいいと思ってるのか?そんなことはない。ヤマハは中国では人が死んでもいいと思ってるのか?そんなことはない。フレームが折れないなど、最低限人が死なない安全性は世界のどこだって同じだ。

今は自転車で言えば、ロードバイクとママチャリしかない。クロスバイクが無い。

お値段がそれなりに張る、競技と余暇全振りのバイクと、生活特化のママチャリのようなスクーターの2つだけ。ロードバイクに対するクロスバイク。ママチャリに対するクロスバイクがあってもいいじゃないかと思う。

性能は限られるが、ミッションバイクの楽しさを楽しめる。ハマったのならちゃんと良いのを買えばいい。そのまま便利なアシにするでも、お財布へのダメージは大したことない。そんなバイク。そんなのを輸入してくれればいいのに。

 

 

さて、前振りがとんでもなく長くなったが、タイトルの話題である。

UPQ(アップ・キュー)社によるディスプレイスペック詐欺事件。

UPQは「Q-display 4K50」「Q-display 4K50X」「Q-display 4K65 Limited model 2016/17」の3製品について、これまでは「120Hz駆動」と説明していたが、正しくは約半分の「60Hz駆動」だったと発表した。UPQは、商品の返品不可。2000円のAmazonギフト券で対応としたが、同一製品ながら販売元がDMMである(DME-4K50D、DME-4K65D)の2商品については返品を受けつけると言った対応の違いで、大炎上している状況だ。

リフレッシュレートの問題だけではなく、標準ではHDMI 2.0の18Gbpsモードではつながらず、10.2Gbpsの接続となる問題などもある。4K60Pでは色情報を完全な形ではやり取りできない。しかし、デフォルト設定で制限があること、伝送速度を切り替える方法などがマニュアルに記載されていないなどの問題も指摘されており、全体的に検査をしたのかと指摘され炎上している。

 

これから割とUPQ社を擁護する記事を書くが、前提として私はUPQ社はあまり好きではない。単純に製品の完成度がイマイチなのだ。あまり商品は欲しいとは思わない。しかし、完璧な製品を売るメーカーのみが許されると言う、ネットの論調にはどうも賛同し難いのだ。

今回の件でUPQ社のユーザーからの信用は失墜した。大打撃だろう。このまま倒産するかもしれない。そこは企業なので仕方ない。信用を失うのも商品が売れなくなるのも、経営に失敗し会社が倒産すること自体はよくある事なのでなにもUPQ社だけの問題ではないし、言及する必要はない。

しかし、今回の件に関しては、どう見ても安心、完璧が売りのメーカーではないと前々から判っていたにもかかわらず、ユーザー以外の周りが叩き過ぎではないだろうかと思うのだ。Twitter2chでの罵詈雑言はまぁいつもの事としても、例えばPCWatchのこの記事だ。

【ニュースの視点】UPQはディスプレイの仕様誤記についてどう対処すべきだったのか ~ものづくりの姿勢に関する大河原氏、笠原氏、山田氏の視点 - PC Watch

全体的に厳しい論調で書かれており、 メーカーの責任が論じられている。正論だ。間違いはない。

間違いはないが、一点忘れられてることがある。

UPQ社の商品は圧倒的に安いのだ。

もちろん、本当に最安値を狙うなら海外から個人輸入するなど、もっと安い方法はいくらでもある。しかし、国内で個人で買いやすい商品において、UPQ社の商品は最安値の部類に入る。安いから良いだろ?全て許されるだろ?と、言うつもりはないが、UPQ社の商品が安くて完璧なら、もっと高い大手メーカーの商品の存在意義はなくなってしまう。大手メーカーは信頼を売る代わりに、お金はその分取る。

「安かろう悪かろう」と言う言葉を皆忘れてるのではないだろうか。「安かろう悪かろう」はネガティブなワードとして使われるが、ドッグイヤーどころか、ハムスターイヤーレベルの加速度となったITやガジェット界隈においては、「安かろう悪かろう」でも「新しい」だけで十分価値を持つものも多い。粗悪でもどうせ1年も使わない場合も多いからだ。念入りなチェックをしているとあっという間に時代遅れと言うこともある。

スペックが表記を満たしてないなど、リスクはあるけど安い。そういった商品があって良いと思う。そして日本人はもっと価格の意味を考えるべきだと思う。

ちなみに、参考までに中華製品大好きな私だが、120Hz駆動で色の綺麗な4Kが欲しいな。と思った時に買ったのはSONYのテレビだ。勿論中華モニタの3倍いや4倍近くした。それでもリスク回避にお金を使った。価格の意味をちゃんと考えるとそう言う結論になった。

しかし、120Hzはあれば良いけど、無いなら無いで別に。PCモニタ用だし。4K解像度だけでりゃ良いよ。と私が思っていたら、話は変わっていただろう。

だから、UPQ社の商品がなくなるのも困る。そう言う日が来るかもしれないし、今日誰かのその日かもしれない。

だから、安い製品を叩く前に、その価格の意味をよく考えるべきなんだと思う。

価格の結果納得して買う人もいる。その人の選択肢を潰してはならない。